第5章 巧みに躱せ、最悪のルート
ダリさんがそっと羽ペンで指したのは、左の方に描かれた地域
「ここが、ソイル・シーモンドの国です」
指の中で羽ペンを回し、ダリさんは続ける
「ここはちょっと変わった国でね、王様がいないんですよ」
「正直よくわかりません」
大体、自分が住んでいた世界の、
自分の国の仕組みすらロクに知らない私は
てっきりファンタジーの世界イコール王様はいて当然の様に思っていた
「王っていうのは血筋で決まる物なんだ。名前の最後に○○世とか付くのはそのためです。でも、このソイル・シーモンドは違う。他の種族も住んでいる故に、共和国として独立してる。つまり、絶対的な偉い人が好き勝手出来る権利はこの国には無い。あぁ、王様はいないけど、国のリーダーならいるよ」
なるほど、ル●ンも三世って言ってるしね・・・
「で、こっちが・・・今我が王フォルグ=ロクスタ=エアフルト18世が居られる場所」
少し大げさな声を出して、意味ありげな目線を送って来るダリさん。
指された場所は、地図の右上のあたりにある城の絵だった
「この国はまぁ、争いが好きな傾向にあるから私はあまり好きではないんだけどね。今王は我が国が作った武器についての外交を行っているよ」
「この世界、戦争とかおきないですよね?」
「いや、いずれ起きるでしょう。とは言え相手は人間ではないでしょうがね」
「他の・・・種族、ですか?」
「その通り。人間の領地を増やすために。それでなくとも人間は今種の保存のついてどの国も深刻な問題だからね。おそらくは・・・」
顎をしゃくりながら、声のトーンを落とす
「人間という種を存続できる種族を探すのが、真の目的と言えるだろうね」
「ど、動物相手に!?」
「さっきも言った通り、人間の領分から外はどんな種族がいるのか未知な部分が多いからね。見た目と構造が人間に似通った種族が見つからないとも限らない」
「それは良い事なんでしょーか」
「少なくともこの国はそれにはほぼ反対だと言っていいです」
「え、意外です。どうして?」
「この国が宗教国家だから、です」