第5章 巧みに躱せ、最悪のルート
ダリさんによるお勉強会は午後からと決まっていたので
それまでに「銀の乙女」としての主権乱用を目論むことにした
どこまで従者が許してくれるのか
どこまで許可が降りるのか、今のうちに測っておかないとね
まずはすぐやって貰えそうな事から。
従者を呼びつけ
「あの・・・服が、ちょっと肌に合わないっていうか・・・」
と濁らせる。
実際はとっても着心地の良い衣服を与えられてるんだけどね。
「少々お待ちください」
と3人程が立ち去り、数分後には台車のついた大きな箪笥ごと運ばれてきた。
こんなにあるんじゃん。服。
やっぱ昨日のは婚礼用のかなぁと思いつつ、中を確認する
どれもフリルやレース満載の物ばかり。
「男物はないんでしょうか?」
「銀の乙女が男物なんて・・・!」
「じゃあもし、誰かに私の存在がバレた時にどう言い訳すればいい?手元にあった方が安心するんだけど・・・」
早朝に窓開けて大声出してた口が何を言うか、と心の中で自分に突っ込みを入れる
その数分後には、もう一つ箪笥が部屋に届いた。
今後万が一に使えそうなものを端に寄せておく
この調子でお茶をねだってみたり、花を飾る様にお願いしてみたり。
結果判ったことは、物品の要求はほとんど許可がおりた。
肩が凝ったからマッサージしてほしいとか、して欲しい事の類も許可がおりた。
眠れない時には従者による子守歌サービスまであるらしい。要らないけど。
次の無茶ぶり、行ってみよう
「あの、私、一体いつまでここにいれば良いの?この部屋から出られないなんて。せめてお城の中とか歩きたいんだけど・・」
「司教様の許可が降りないとそれは・・・。人に見られてはならないのです」
「あー、だめ。あーーー!おかしくなりそう!今すぐおかしくなりそう!」
ストレスたまった人の演技
のつもりだったんだけど結構本音だ。
「少々お待ちください!司教様に相談してまいります!」
慌てた様子で従者が1人、部屋を出る。
部屋を出たいのはともかく、お茶欲しいとか甘い物欲しいとかそういうのもっと早く言ってみれば良かった・・・
なんかアレだね、友達の家に初めて泊りに言った時感覚っていうの?あの感じ。