第5章 巧みに躱せ、最悪のルート
なんとか笑って謝って誤魔化して、再び一人になった部屋。
うっかり「ここから出たい」なんて言った日には拘束される可能性だってある。
従者集団は子供と言えど
護身程度の武術は身に着けているらしい
仮に私が何か武器を持っても
複数対1(しかも素人)じゃ勝ち目が無い。
出来れば戦ったりして傷つけあうのはイヤだ。
昨日1日付き添いされて解ったけど、
従者としての彼らに「個」はない。
神に身を捧げてる以上は味方にはなってくれないのは明らかだし、大元の司教様も、簡単には信用できない。
信用できそうなのは、クライブさんとステア、
うーん、それにダリさんくらいだ
何とかして私に有利にならないだろうか?
すごく頑張って出した答えが
「異世界から来た事を理由にある程度好き勝手してみる」
文化が違えば多少図々しいふるまいをしても、大目に見てもらえるんじゃない?
私が貴重な存在なら尚更だ。
何もしなけりゃ1週間近くでバッドエンド。
それなら、足掻いてみようじゃない
気合満々の私は朝食を全て平らげる。
異世界とは言え、ヒトである以上は食生活は私と同じ
もっと言うと食材や料理名もほとんど変わりはない
これはルイ君の言語変換のお陰か。
まぁ、元居た世界と進化の仕方が若干違うので、枝分かれした先の技術でできた流行のお菓子なんかはもちろん無いわけだけど。
さっきのオムレツ美味しかったなーなんて考えながら食器を見つめていたら
ある事に気が付いてしまった。
オムレツ=卵=雌鶏=メス
おおっ!?
そりゃそうか。万が一この世界のメスというメスがいなくなってるなら、五年前にはとっくに世界全体的に絶滅、カタツムリやミミズくらいしかいない世界になってしまう。
じゃなんでヒトのメスだけが居なくなったんだろう?
ダリさんに聞くことがどんどん増えて行く
なるべく聞き漏らさないように箇条書きでノートに覚え書きをした。