第4章 しょっぱい乙女、爆誕
「初めまして銀の乙女アリーチェ様。わたくしが貴方様の家庭教師を務めさせていただきますダリエルと申します。貴女のような方にお教えする事が出来、光栄に思います」
固い言葉とは裏腹に、おどけた調子で挨拶をしてくる
「よ、よろしくお願いします」
「はは、その様に固くならないでください。こっちまで緊張してしまいます」
家庭教師と聞いて、すごいツンケンした慇懃無礼な感じの人が来ると勝手に思ってたけど、なんだか気さくなダンディが来たのでちょっと警戒心が薄れる。
「・・・本題のお勉強に入った途端豹変するとか無しでお願いします」
「なんですか?それ?まぁまぁ、なるべくわかりやすくやりますが、わからない事はどんどん聞いて下さい。私も違う世界から来た人に物を教えるのは初めてなので、お手柔らかにお願いします」
小脇に抱えたいくつもの本をテーブルに置き、ダリエルさんは続けた
「今日は何から行きましょうかね。あ、私の事はダリさんとでも呼んでください。あー、まずやっぱこのあたりかな。この国の成り立ちから行きましょうか」
一冊の重々しい本を差し出され、そっと開いてみる
エアフルトというこの城と国の成り立ちのついて超難しい言葉で書いてある。
3ページも進めないうちに私はダリさんに苦笑いを向けた
「そうですよねー・・・。いや、ここにある本みんなそんな感じなんですよ」
「マジすか。全部読み終える頃には私、ヨボヨボになってると思う・・・」
「やっぱりこういうのは口頭でやった方がいいですね。それと・・・」
と言いながらダリさんはドアの傍で待機していた従者の一人に耳打ちする。
従者は頷き、駆け足でどこかへ向かった
「さ、仕切り直しまでちょっと時間が出来ました。準備が出来るまで逆勉強会しましょうか」
「なんですかそれ?」
「貴方の元いた世界について教えてください。こんな機会、無いですからね」
「え、私の、ですか!?大したところじゃないですよ?それに、何から説明したいいのか」
「私らにとっては『大した事』かもしれない。じゃあまず、向こうの世界で好きだった事を教えてください」
「えーと、ネットと、音楽と、あと料理作ったり・・・」
「ほぅ、ネット、とはなんですか?」
「えーと・・インターネット・・・は・・・なんていうか・・」