第4章 しょっぱい乙女、爆誕
採寸地獄から解放され、午後一番には家庭教師が来てくれる事になっていた
いつまでここにいるかわからない以上、私には兎に角知恵と知識が必要だ。
ふと、従者の一人にクライブさんとステアについて聞いてみた。
クライブさんは寝ずの番から解放されて今は仮眠中で
魔法使い見習いのステアは、修行兼師匠に従事中だとか。
ちょっとでも彼らに会えれば、と思ったのに残念。
ひょっとしたらあの二人以外に親しく話せる人なんか、できないかもしれないしね。
ふぅ、と仰向けにベッドに寝転がってみる。
ん?
ベッドのすぐ脇になにか置いてある
上半身を伸ばし、取っ手を掴んで持ち上げる。
トランク。
しかも、これ、私のだ。
革でできた小ぶりなトランク。
旅行用のと違い、ファッションの一環としてのものなので、
仮に物を沢山詰めてもせいぜい一泊分くらいだろう
この世界に来た時には確かに持ってなかったのに・・・?
あ、もしかしてさっきルイ君が居たのはこれを届けてくれるために?
「正解!」
出たよ唐突の脳内ルイコール
トランクの金具を外して中身を確認してみる
もしかして某4次元ポケットみたいに、なんでも取り出せるとか!?
当たり前のようにその期待は裏切られた。
中から出てきたのは、ノートとボールペン。のみ。
拍子抜けした。
まぁ、これはどう使えるかわからないからこのままにしておこう。
そんな私の耳に、ノックの音がひときわ大きく響いた。