第4章 しょっぱい乙女、爆誕
私用にとあてがわれた部屋並みに広い、広すぎる浴室。
半分は埋め込みの浴槽になっていて
その水面には優しい香りのハーブの類が浮かんでいる
浴槽のきわに置かれた巨大な獅子の口からお湯が無限に出て来る
マー・・・・・
獅子のこの様子に擬音を付けるならそれしかないと思った。
かけ湯で身体を流し、そっと湯に身体を沈める
少しぬるめのお風呂は、私の芯からため息を促す。
一人で入るにはあまりに広すぎるそのお湯の中で、身体をおそるおそる広げる
昨日のあれこれで知らない内にすり傷が出来ていたらしい
身体のあちこちがひりひりする
「お体、お流しいたしましょうか」
浴槽の扉の向こうから声がする
「いいいいらない!自分でできるからいらない!!」
咄嗟に身を縮めて叫ぶ
お付きの人だか神に身をささげただか知らないけど裸を見られるのは嫌だ。
扉の向こうの気配が消えてゆく
ふぅー。
ここに来て、初めての解放感
思わず鼻歌が漏れる
不意に出て来た気楽な曲に自分自身が励まされる
調子に乗ってどんどん楽しい鼻歌が溢れて来る
ひとしきりの曲が終わったころには私の身体はピンクを通り越してゆでたタコみたいな色に染まっていた。