第3章 絶滅危惧種
「とりあえず今日はもう夜遅いので、アリーチェ様はお休みになられた方が良いでしょう。クライブは部屋の前で番を。」
「はっ」
明日以降に指針を決めるという方向で話が落ち着いた。
途中退席していたステアが客間を手配していてくれたので、
そこで一晩を明かすことになった。
人に見られぬように教会にあったローブを纏い、移動する
ステアが先導する中、クライブさんが隣について歩く。
夜は更けているので人気は無く、足音が響く。
目の前に写る景色は、複雑な城内の廊下と規則的に並ぶ仄暗い蝋燭の明かり。
隙をついて脱出も考えたけど、城内で迷子になって捕獲されるだけだろうな・・
やがて、客間と思われる扉の前にでステアが立ち止まって指をさす
廊下は会話が響くので、とりあえず全員その部屋の中に入る
客室と聞いて簡素なものを想像していたのが大間違い
すんごいVIPルーム。
必要そうな家具は一式。(しかも豪奢)
天蓋付きのベッド、高そうな食器が並ぶ飾り棚
部屋というか、家。ここに住めそう。
猫足のテーブルセットに促され、椅子の一つに腰を下ろす
「さっきはその・・・申し訳ありませんでした」
「僕も・・・ごめんなさい!」
立ったままのクライブさんとステアが並んで再び頭を下げる
「いや、いいですよ・・・なんか、こっちこそ、ごめんなさい」
男扱いされたのはまぁ、ムカついたけどこの世界ならしゃーないよね。
それと、多分一番の元凶はルイ君だと思う
「全然怒ってないし、むしろあの時助けてありがとう」
なんだか気まずいような申し訳ないような微妙な空気。
それを取り繕うように、私は言葉を続ける
「あの、なんか・・・『様』付けとかいいから!ほんと、この世界に私がいつまでいるかもわかんないけど、ここに来て初めて親しくなれた2人だし!」
ちょっとずつ緊張がゆるんでいくのがわかる
「だからさぁ、ね?これからもよろしくお願いします!」
勢いでお辞儀をする