第3章 絶滅危惧種
「それを考えないといけないので、まだ決まってはいません。ですが逆ならあります」
「逆?」
「下手に人前に出るのは絶対にしてはなりません。現に賊に襲われかけたと聞きました」
・・・女としてじゃなくて、か弱い少年としてね。
まぁでも、お陰でこの事を知っているのはクライブさんとステア、それから目の前の司教様だけなのが幸い。
「本来、すぐにでも国王と謁見すべきですが、王は戦に出ておりますので帰還までの間は部屋に籠って頂きます故、ご辛抱を」
クライブさんが私にまた跪く。
「それまでの貴方の世話係と護衛はこちらで信頼できる者を用意しましょう」
「あのー、司教様。ちょっとお願いがあるんですけど」
「なんでしょうか?」
「護衛の人、クライブさんがいいです。」
知らない人だらけでこれ以上名前を覚えるのは嫌だ
「なりません。いくら緊急時だったと言え、神聖な女性を担ぎあげるなんて。この国の騎士としてはあってはなりません。明日にも騎士の称号を剥奪してもおかしくない事なのですよ」
クライブさんが目を閉じ顔を顰める
だから私を抱っこしたときにあんなに追い詰められた顔をしていたんだ
「そんな・・・!いきなり知らない人に守られても逆に怖いし、クライブさんとステアがいなきゃ、私どうなってたか・・・」
この状況を騎士免許剥奪っていうんだろうか。
「私の護衛は無理だとしてもクライブさんの称号剥奪はやりすぎです!」
「・・・貴女がそこまで仰るのならその通りに致しましょう。クライブ、アリーチェ様の望むままにしなさい」
「はっ。有り難き幸せ!」
跪いたままのクライブさんの額に汗が流れている。
この人もかわいそうに。とんでもない巻き込み事故だ、こりゃー