第6章 distance
【O】
スタッフと軽く打ち合わせを終えて、楽屋に戻った。扉の前で、相葉ちゃんがノブを握りしめて立っている。また、開け方解んないんか?
「相葉ちゃ…」
俺を見て、「シーッ」と唇に人差し指を宛てて、キョドってる?
「どした?」
小声で話し掛けた。何も答えてくれない。目線が、楽屋に向かって動いた…?
まさか?!
雅「あ!リーダー!駄目だよお~」
相葉ちゃんが腕を引っ張ってきたけど、俺は、構わず楽屋に入った。
潤「なんだよ?」
俺の姿を確認して、松潤が睨んでくる。
翔ちゃんに、目をやると…。涙をボロボロ溢しながら、ソファーに横たわっている。シャツが捲れて胸が露になってて…。ズボンと下着が膝の辺りまで下げられてて。男同士だけど、目のやり場に困る格好だ。
今迄、なにをしていたのか。一目瞭然で…。
「松潤。お前!」
松潤の胸ぐらを掴んだ。
潤「なに?大野さん。俺を殴れるの?大体、あんたにカンケーないだろーが!」
松潤が、俺を見下ろしながら、ニヤリと笑う。
こいつ…!
松潤を掴んでいる手に力が入る。
雅「ああー、もう…。止めてよう~」
相葉ちゃんが、俺と松潤の肩を掴んで、離そうとする。
翔ちゃんは、動かない。いや、動けないのか…?
―ガチャッ
音がした方に、目をやると…ニノが楽屋の内鍵をかけていた。
和「みんな。ここで、何やってんだよ⁉」
顔を真っ赤にして、言ってきた。それから、翔ちゃんの身体に、着ていた上着を掛けた。
和「とりあえず。翔ちゃんは、これからまだ仕事あるでしょ?俺らは、オフだから。皆で、話、しましょうかね?」
穏やかな口調だけど、明らかに怒っている。嵐の中で、一番怒らせたら、厄介な奴を。怒らせてしまった⁉