第6章 distance
【S】
収録は、恙無く終わった。
楽屋に帰るまでの廊下で、智くんに、腕を掴まれた。
智「翔ちゃん。今日は、何時ごろ、仕事終わる?」
「んーと、ね。これから、オリンピックの取材があるんだけど。多分、てっぺんは、越えないと思うよ?」
智「そう。じゃ、忙しいね?久しぶりに、呑もうと、思ったからさ♪」
「あ、そうなの?呑みの誘い?遅くなっても大丈夫なら、行く?」
智「うん。行こうよ。待ってるから。それと、岡田っちも来るから」
智くんが、誘ってくれるなんて。珍しい。しかも、岡田くんも一緒なんて…。何か、話が、あるのかな? 一応、潤に、智くん達と呑むこと言っておかないとな。
智「仕事終わったら、連絡して?」
楽屋の扉を開けたら、手首を掴まれ、中に引っ張られた。潤の胸の中に抱き締められた。
顔を上げると、潤が、あからさまに、不機嫌な顔をしている。
潤「リーダーと何、喋ってたの?」
「あぁ。今日、仕事終わったら、呑みに行こって誘われたんだ。岡田くんも来るって」
潤「………駄目だ。行くな!」
「なんで?」
潤「なんででも!」
訳が解らない。
顔に出ていたようで…。
潤「解らないって、顔してるね?だからさ、ハッキリと言うよ。リーダーとは、駄目!」
「………は?智くんとは、駄目って…。メンバーじゃん。それに、岡田くんも一緒だから、いいでしょ?」
潤は、たとえ、岡田くんも一緒でも、智くんがいるなら、絶対に行くなって。ずっと言ってて…。
なんで?メンバーだよ?
潤…。どうしたんだよ?この頃、特に変だよ?
「呑みに行くくらい、いいじゃん。潤だって、いつも呑みに行ってるじゃんか!俺は、行くから。岡田くんとも、会いたいし」
潤「それじゃ、俺も行く!」
「……えっ?」