第6章 distance
【M】
「おはよう~」
欠伸をしながら、楽屋に入った。
今日は、レギュラー番組の収録が終わったら、俺はオフだ。
翔は、オリンピックの取材って言ってたな。翔は、これからますます忙しくなるなぁ…。
ニノがソファーで胡座をかきながら、ゲームをしている。
翔の姿が見えない。俺よりも先に家を出たはずだよな?
鞄を下ろしながら、楽屋を見渡してみる。
和「潤君。翔ちゃんなら、そこで寝てるよー」
ニノが指差した先に目線をやる。
畳の上で丸まって寝ている翔がいた。
でも…その横に翔に寄り添うように、大野さんが寝ていた。
俺と翔が付き合っていることは、メンバーとマネージャーには言っている。隠したくなかったから。
それと、大野さんに対しての牽制の意味もあった。
翔は気付いて無いけど、大野さんも翔が好きだ。
俺と8年も付き合っているんだから、いい加減諦めてほしい。
和「潤君。顔、怖いですよぉー?」
ニノが笑いを堪えながら言ってくる。
俺は、翔の側に行き上半身を起こして抱き締めた。
翔「……んんっ?あ、潤。今来たの?」
目を擦りながら、翔が俺を見上げてくる。
その年不相応な可愛さに、更に力を込めて抱き締めた。
大野さんが目を覚まして、俺と翔を見る。
そして、俺を睨んできた。
そんな俺たちを、ニノは楽しくて仕方ないって感じで、口元を手で覆って笑いを堪えてる。
その時、、
―ガチャン!ガチャガチャッ‼
誰かが、楽屋扉のノブを乱暴に動かしている。おそらく…
「相葉くん!引くんだよ‼」
俺は、扉の向こうに居るであろう人物に声をかけた。