第5章 僕は、便利屋。③
風間さんと寄り添うようにして、姉さんは、帰っていった。
翔が、俺を抱きしめてくれた。不思議と、堕ちた気持ちが、少しずつ、和らいでいくのを感じた。
もしかしたら、姉さんも、翔のお蔭で、受けとめられたのかもな…?
「翔。ありがとうな。俺…みっともないとこ、見せたな…情けないよ…」
『さとしさん。情けなくないよ?…格好良かった!』
真っ直ぐ、俺の目を見ながら言ってきた。…なんか、照れる。
俺は、その目線から、逃げるように、ソファーの端に座り直した。翔が、俺の隣に座り、肩に頭をコテンッとのせてきた。うわっ!これは、ヤバイ‼襲ってしまいそうだ。
「翔。…ちょっと、離れて?」
翔が、首を傾げる。その仕草もヤバイんだよ?!
『どうしたの?顔が赤いよ?』
なぜか、俺の考えてることを読めるくせに。…こういうことには、鈍いんだな?
「あの、な。お前にや~らしいこと、してえのよ」
冗談っぽく、でもハッキリと言ってやった。
翔の顔が真っ赤になる。でも、俺から、離れない。
『いいよ。さとしさんなら』
「そんなことを言って!何をされるか、わかってねえだろ?」
翔は、俺から目を逸らさない。
『じゃあ、さとしさんが、僕に教えて?』
な、な、なんて?こいつは、天然の小悪魔だわ!こんなん、堪えられねえだろーが!
俺は、翔をお姫様抱っこして、寝室に行く。ベッドにそっと下ろす。
「本当に、スルぞ?煽ったのは、翔だからな?」
『僕、煽ったの?…どうして?』と、首を傾げる。
あー、もー!無理だ!我慢の限界!未成年には、手を出さないのが、俺の唯一のルールだったのに!
「翔。優しくできないぞ…。いいか?」
『うん。…さとしさんは、優しいから、僕は、平気』
翔が、俺の首に腕を回してきた。俺は、翔の唇にチュッと、キスをした。何度もチュッと、唇に触れるだけのキスをした。翔の目が、トロ~ンとしてきた。
キスくらいで、勃ちあがる俺のモノ。こんなこと、初めてだ。