第5章 僕は、便利屋。③
ニノに、髪を切ってもらった翔は…ますます可愛さがアップした。
やっぱり、16才とは、思えない程幼い。パッと見、小6。これは…
松「翔。本当に16か?パッと見、小6だぞ?」
松兄ぃも、同じことを思ったんだな。ニノも、頷いている。
松「大野。手を出したら、ヤバイな?ロリコンだぞ?」
松兄ぃが、また小声で少し笑いながら、言ってきた。
脇腹を軽くつねってやったけど、全く効いてなさそうだ。くそ~~っ!
〈にのみやさん ありがとう〉
和「いーよ、いーよ。翔ちゃん。俺のことは、ニノでいいよ。みんな呼んでるし」
翔は、『わかった』と口パクで笑いながら、答える。
しゅう君を探しに、ニノと翔とで、ツルさんの家の近くを探索した。何も情報を得られないまま、日没になったから、明日またってことで、家に帰ることにした。
『さとしさん。ごめんね』
「謝ることない。翔は、悪く無い!悪いのは、翔の親父だろ?」
そう言ったあと、翔の頭をポンポンと撫でる。
泣きそうだった翔が、笑顔になった。
また、胸が高鳴った。…ヤバイな。本気で、惚れたみたいだ。
「狭いところだけど」
俺は、アパートの扉を開けて、翔を先に招き入れた。玄関で立ったままの翔の手を引いて、ソファーに座らせる。
[ピンポーン♪]
俺の帰宅時間を解っていたかのように、チャイムが鳴る。 たぶん、〇〇だろう。
玄関から、扉が開く音がした。〇〇が、部屋に入ってきた。無表情で、ソファーに座っている翔を見る。
「もう、ここには、来ないでくれ。見ての通り、これから、こいつと楽しむんだからよ」
顔を歪ませる〇〇。
〇〇「まだ、子どもじゃない…」
それを聞いて、俺の中で、何かの…弾ける音がした。
「まだ、11だった俺に!無理矢理!セックスしてきたのは、アンタだろ?!ふざけんな!!!」
俺は、〇〇に馬乗りになった。両手を首にかけて、グッと力を入れる。
翔が、俺を背中から抱き締めてきた…。顔だけ翔に向ける。
翔は口パクで『さとしさん。ダメ‼暴力は、何も生まないよ!』と泣き出しそうな顔で言ってきた。
涙が、スッと頬をつたった。