第5章 僕は、便利屋。③
松「翔。しゅうを見つけてやるからな!とりあえずお前は、大野のところに行け」
「…えっ?」
松「俺のところは、狭いし。ニノのところは、彼氏が入り浸りだろ?それに、お前が拾ったんだろ?」
ま、そうなんだけど。俺のところもヤバイんだよ?
でも、翔が居たら、〇〇も来れないか?距離を置けるかもしれない…。
「わかったよ、松兄ぃ。んじゃ、翔。狭いところだけど、俺のところに来い」
翔は、満面の笑顔で『ありがとう』と、口パクで言ってきた。可愛いな、コノヤロ!
松「あと、その髪をどうにか、しないとな?」
松兄ぃが、翔の髪を触る。それだけなのに。俺は、どす黒いものが沸いてきた。
松「大野。そんなに嫌だったか?」
「何が?」
松「あん?翔の髪を触っただけで、ものすごく、睨んでたぞ?」
俺の耳もとで小声で言ってきた。
俺、そんなに顔に出てたのか?
…こんな感情、知らない…。どうしたんだ?俺は。
松「もう、触んねーよ!」 と、肩をポンポンと叩かれた。
和「今、帰りまーした!…誰?客?」
翔が笑顔で『はじめまして』と、口パクであいさつしている。ニノも笑顔であいさつをかわす。
ニノに、今までのことを話した。ニノは、俺の話を腕組みをしたまま聞いていた。
ニノは、話が終わると、翔のところに行き、そっと抱き締めて、頭をポンポンと撫でる。俺が、ジッと見ていたら、松兄ぃが近づいてきた。
松「ニノは、いーのか?」
松兄ぃが、俺の耳もとで小声で言ってきたから。
「ニノは、下心が無いから?大丈夫みたいだ(笑)」
チッって舌打ちして、「俺も無えのによ!」と、自分のデスクに戻っていった。
和「智。翔の髪を切ってもいー?」
何で、俺に聞く?
「翔に聞けや。何で、俺に…」
和「だって、智が、拾ったから♪」
俺の言葉に被せ気味に言ってきた。
松兄ぃもニノも、なんなんだよ?全く!翔は、俺のものじゃないぜ、まだ!…ん?まだ?……何考えてんだ?俺は、どうしたんだ?今日、会ったばかりの10個下の子どもに…。