第3章 シグナル。
もうすぐ21時。まだ、潤くんのお母さんは、迎えに来ない。先生が、住所伝えたって言ってたけど…。何か、あったのかな?
翔「潤くん、お母さん、遅いね?」
目がトロ~ンとしてきている翔と潤くん。
[ピンポーンッ♪]
チャイムがなり、玄関に向かう。モニターを見ると、和也が映し出された。…あれ?鍵、持ってなかったのか?
扉を開ける。
和「ごめん。鍵、持って出るの、忘れてた。今度の試験勉強に集中してさ。ちょっと、遅くなったかな?」
和也が、見慣れない靴に気付く。
和「誰か、来てんの?」
「潤くんだよ。お母さんの迎えが遅いって聞いたから。ウチで待ってるんだけど…」
和「まだ、来てないの?」
コクりと頷く。和也の眉間に皺が寄る。
和「いくらなんでも、遅くね?もう、子ども、寝る時間じゃない?」
リビングのソファーで、ウトウトしている、翔と潤くん。父ちゃんは、風呂に入ってる。雅紀は、翔を抱き締めながら、テレビを見ている。
雅「お、おかえり、和也。メシ食った?」
和「いや、まだ。なんか、ある?」
雅「オムライス、あるよ。食う?」
和「自分でするから。…智兄、潤のお母さんに連絡、してみたら?」
舞先生から、教えてもらった連絡先に電話してみる。
留守電だ。一応、メッセージを入れておく。
和「こんな時間まで、連絡も無しに。なんだろうね?…潤のところは、シングルマザーだから、大変なのは、わかるけど」
「そうなの?知らなかった…」
雅「ねえ?二人とも眠そうだけど、お風呂入った方が良くない?俺が入れようか?」
「そうだね。じゃ、雅紀、お願いしていい?」
雅紀が、俺に向けて、ゆっくりと親指をたててみせた。