第13章 I'll be there
翔「松潤、雅紀から連絡あった?」
風呂からあがった翔さんが、リビングに入ってくるなり尋ねてきた。
「無いよ。まだバタバタしてんのかもね?」
翔「そう、だよな…。あ、松潤。風呂入ってきな?」
髪をバスタオルでガシガシと拭きながら、ソファーの俺のとなりに腰かけてきた。
すると、洗い髪の香りがふわりと鼻孔をくすぐってきた。
わっ、いいにおい…。
おんなじシャンプーの筈だよな?
翔「どした?ぼーっとして。らしくないぞ?」
バスタオルをふぁさっと頭から肩に下ろした。
まだ濡れた髪。そこからの香り。
上気した顔。赤を強調している唇。
うなじから首筋を経て鎖骨に流れていく汗。
どれもが、扇情的で…。
翔さんが、男だということを忘れてしまいそうになり…、、唾液をごくんっと飲み込んだ。
翔さんの肩をガシッと掴んだ。
「翔さん!」
翔「ん?」
少し下を向いていた翔さんと目が合った。
翔さんの大きな目が揺らいだ…ように思えた。
「………っ、風呂っ、行ってきます!」
翔さんの肩を支点にして、ぐっと押しながら立ち上がった。
翔「あ?ああ。ふはは。はいはい。行ってこい」
早足で風呂へ向かった。
俺のバカっ!
翔さんに…何しようとしてたんだ?
自分の欲望のままに押し倒してしまわなくて良かったと、この時は…思っていた。