第13章 I'll be there
左手にスマホを持って、その明かりを頼りに忍び足で廊下を歩く。
店内への扉のノブに手をかけ、音をたてないようにそっと5㎝ほど開けて、その隙間から中を覗いた。
すると、灯りは一ヶ所だけ、ついていた。
見間違いじゃなかったか。
変だな…。
確かに消したと思ってたんだけどな…?
灯りを消すために、中に入ろうと大きく扉をぐっと引いた。
半分ほど開けたとき
あれは…っ?
スタイリングチェアに座って俯いている男と、後ろ姿だけど、女性がいるのが見えた。
しかも、女性は床に膝立ちになっていて、スタイリングチェアに座っている男の開かれた足の間に頭があり、小刻みに揺れている。
な…っ!
神聖な職場で何てことをっ⁉
2人が何をしているのかなんて、直ぐにわかった。
あそこには大切なお客様だって座るっていうのにっ…!
沸々と怒りが沸いてくる。
今すぐに止めなきゃ!
~そう思うのに…、動けない。
俺が躊躇っている間に、2人の行為は激しさを増していき…
男の顎が、くっとあがった。
~と、その時、男の顔が見えた。
あっ!!
声を抑えるために、両手で口を覆った。
だけど、驚き過ぎて、ひゅっと喉が鳴った。
その微かな音に、男が反応して俺と目が合った。