第12章 愛のかたまり
翔「ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ…!」
ガチャガチャと物がぶつかる音と何かが落ちる音。
そして、ドタバタと走っている音と、彼の慌てふためく声。
暫くして、静かになったと思ったら、寝室のドアがそろりと開けられた。
翔「よし、まだ寝てる」
忍び足で寝室に入ってきた彼は、俺の顔を見てホッとした顔になった。
彼のお陰で狸寝入りがうまくなった。
毎朝、超絶不器用な彼なのに、一所懸命朝食を作ってくれる。
──あの、初めてのキスの日から半年。
あれから彼は…毎日、獣のように求めてきて…。
嬉しいんだよ?
嬉しいんだけど…、アラサーの俺にはちょっと…、ね?
翔「よし、できた!」
ドア越しに彼の声が聞こえてきた。
スマホを手に取り、時間を確認する。
~と、その時、ドアが開けられた。
翔「そろそろ起きてください…って、あっ…起きてる…」
俺が起こす前に起きていたことで、彼はあからさまにシュンと落ち込んだ。
ふふふ。子供みたい♪
スマホをベッドサイドチェストに置いて、両手を伸ばした。
「起こして?」
翔「うん!」
嬉しそうに駆け寄ってくる彼。
広げた両手の中に飛び込んできた。
それから、俺の背中に腕を回してきてギューッと抱き締めてきた。
「ふふっ。おはよう」
翔「おはよう。朝ごはん、できてるよ。今日のはね、自信ありだよ」
それ、毎日言ってるよね…?