第12章 愛のかたまり
コゲコゲの食パンと目玉焼きをコーヒーで流し込んで、後片付けをする。
後片付けも彼がするって言ってくれるんだけど、作ってもらったんだからせめてこれくらいは、しないとね。
「いってらっしゃい。頑張ってね、さくらいせんせい♪」
彼は、この春から小学校の教師になった。
俺に気遣って、一度は諦めようとした彼。
だけど、一念発起してくれて。
翔「もう…恥ずかしいな…」
ピカピカの革靴を履いてから、こちらを向いて照れ笑いを浮かべ、右頬をポリポリと掻いた彼。
ネクタイをきゅっと結び直してあげて、胸をタンと叩いて気合いを入れてあげた。
翔「智くん。ん♡」
唇を突きだして、キスをねだってきた。
「だーめ。翔くん、キスだけで止まらないでしょ?」
唇を人差し指でポンと押した。
翔「うっ…。じゃあ、これで我慢するよ」
急に男らしい顔になって、俺をそっと抱き締めてきた。
どきどきどき…
翔「よし、充電完了!行ってきます」
そう言って、手を振りながら名残惜しそうに出掛けていった。
「さてと、俺も出掛ける準備するか」
ん、と伸びをして寝室へと向かった。
スマホを見ると、彼からのメッセージが届いていた。
《愛してるよ、智くん♡》
スマホを胸に宛てて、握りしめた。
俺も、愛してる♡
─日々が、愛のかたまり──
完