第12章 愛のかたまり
1週間後、大分体力が回復したので、前の家の整理をするために櫻井翔くんと共に向かった。
まだ、少し足を引きずりながら歩く俺を、櫻井翔くんが腕を持って支えてくれる。
「櫻井翔くん。いつも…」
迷惑掛けてごめん、と謝ろうとしたら、、
翔「あの…もう、やめませんか?」
…?
翔「僕、迷惑とか思ってませんから。だから、もう謝らないでください」
まっすぐ、前だけを見て言われた。
その横顔は、今まで見た事もないような真剣な顔つきだった。
「わかった…」
ごめん。
心のなかでなら、いい、よね?
玄関扉のノブに紙袋がかかっている。
中を見ると、郵便物が入っていた。
大家さんかな?
翔「大家さんですかね?」
「うん。たぶん…ん?」
郵便物の差出人のチェックをしていたら、ヒラリとメモが落ちた。
拾って見てみる。
[ポストから溢れてたからまとめときました。中は見てませんからねー。 佐藤]
佐藤、ってことは大家さんだ。
後からお礼にいかなきゃな。
「んふふ。やっぱり大家さんだった」
メモを櫻井翔くんにも見せた。
櫻井翔くんがクスリと笑って、
翔「なんか、可愛いらしいですね」
「うん。明るくてちょっとお節介だけど、イイ人だよ。少し母ちゃんに似てるかも?」
翔「へぇー。そうなんですか…。僕、大野くんのお母さんに会ってみたいなあ」