第12章 愛のかたまり
「あれ?会ったことなかったっけ?」
翔「はい。雅紀くんのご家族には会ったことあるんですけど、大野くんのご家族には会ったことないです」
「ああ、みんなで相葉っちのとこの飯食いに行ったね。懐かしいな…。また、行きたいね…」
翔「はい。是非行きましょうね!」
櫻井翔くんが楽しそうに笑う。
その笑顔に、俺も楽しくなってきた。
久しぶりの我が家は、人の出入りがなかったからか、そんなに汚れてなくて。
これなら直ぐに片付きそうだ。
櫻井翔くんが、二宮さんたちを助っ人として呼んであるって言ってたけど、2人で充分かも?
リビングに入って、真っ先にあのときの包丁の跡が目に飛び込んできた。
「あっ……」
その場にペタンと座り込み、ガタガタと震えだした自分の身体を抱き締めた。
翔「大野くん…。簡単には忘れられないですよね?」
そう言って、俺をそっと抱きしめてくれた。
翔「でも、早く忘れてください」
「できないよ…」
櫻井翔くんの腕の中から離れようとするけど、力が思うように入らなくて…。
更にギュッと抱きしめられて、櫻井翔くんの心臓の鼓動がより近くに感じられて…。
少し早めの鼓動に、次第に気持ちが落ち着いてきた。