第12章 愛のかたまり
「ほんとに、いいの?」
俺は躊躇いがちに家に入った。
翔「はい。ここにあるものは何でも自由に使ってください。それと、大野くんのご家族にはここにいることを伝えてありますから」
「ありがとう…」
俺は…、先生と別れる決心をした。
そして、あの部屋を出ることにした。
新しい部屋が見つかるまでの間、櫻井家の別宅に身を寄せることになった。
俺の家族には、階段から落ちて怪我をしたと伝えてある。
恋人が男だっていうことも、その恋人から暴行を受けたということも、とてもじゃないけど言えなくて…。
それに…、あの日から、先生の消息は不明で。
あの日、潤さんと俺が話してたのを偶然聞いていた斗真さんが、胸騒ぎがして引き返してくれた…。
あのとき、3人が助けてくれなかったら…俺は…今頃どうなってたか…。
ほんとに3人には、特に櫻井翔くんには、足を向けて寝られないよ。
櫻井翔くんが荷物を部屋に運びいれてくれた。
「新しい部屋が見つかったら直ぐに出ていくから…」
翔「そんな…。直ぐに出ていかなくても…。それに、ここなら見つかる心配もないと思いますし。大野くんさえ良かったら、ずっとここに居てください」
それは…出来ないよ…ごめん。
だって、俺…。