第12章 愛のかたまり
「んぅ…」
重い瞼をゆっくりと開ける。
目が霞がかっている。
斗真「あ!目、覚ました!翔さん!潤!来てきて!」
バタバタと足音が近づいてくる。
そして、誰かが俺の手をそっと握ってくれた。
何回か瞬きをした。
徐々に視界がはっきりしてきた。
翔「良かった…。大野くん、ほんとに良かった…」
櫻井翔くんが俺の手を握りながら、泣いている。
どうして、泣いてるの?
「…ど、ぅ……ぃっつ…」
口を少し動かしただけで、痛くて喋れない…。
翔「あ、無理しないでください。口の中が結構広範囲に切れてるみたいですから…」
櫻井翔くんの後ろに立っている潤さんが、紙とペンを差し出してきた。
潤「大野さん。それを使ってください」
潤さんから受け取り、[ありがとう]と書いた。
とても、震えた文字だった。
…?
力が、入んない…。
潤「大野さん、貴方3日も寝たきり状態だったんですよ」
ああ、それで、筋力が落ちてんのか…。
斗真さんがナースコールを押した。
それから直ぐに医師と看護師がやって来て、俺の身体を診察した。
医師からは、右足の亀裂骨折と背中と腕の打撲、口内創傷があること。
そして、頭部と腹部には異常がなかったこと。
咄嗟の判断で、ガードしていたからだろう、ということ。
それと今後の治療等の説明を受けた。