第12章 愛のかたまり
今…何時、かな?
今回は、なかなか…、終わらない、な…。
暫くして口内に広がる鉄の味。
ああ。
口の中、切れてるな…。
玄関からリビングまでずっと蹴られながら移動した。
それからずっと殴る蹴るをくりかえされ…。
*「俺が居ないときに男を連れ込みやがってーっ!てめえ、ふざけんじゃねーっ!この淫乱が!!俺だけじゃ満足できないか?あ?どうなんだ、こらあっ⁉」
徐々に意識が朦朧としてきて…。
でも俺は頭を防御しつつ、身体を丸めて痛みに耐える。
「…ふ、ふふふ…ふふ…」
こんな状況なのに、どこか冷静な自分が笑えてくる。
*「なに笑ってんだ?」
「……」
*「なぁに、笑ってんだ、うおらああっっ?!」
先生がキッチンに向かった。
あ、やばい…。
そう思っても身体がいうことを聞いてくれない。
先生が右手に包丁を持って、走って戻ってきた。
そして、俺を仰向けにして馬乗りになってきた。
それから俺の顎を掴んで顔を固定させて、包丁を高々と振り上げた。
刺される…!
ギュッと目を瞑った。
次の瞬間…、、
ドスッという鈍い音が左耳の近くで聞こえてきた。
それから身体の負荷がなくなった。
不思議に思い、薄目を開けて見た。
すぐ側に包丁が突き立てられていた…。