第12章 愛のかたまり
「はぁ…。なんだか、すみません。初対面の貴方にこんな話を…」
?「いえ。いいんですよ。それに…」
俺をじっと見つめてくる男性。
なんだろ?
?「なんだか、貴方とは初対面な気がしないんですよね」
それは、俺も感じてた。
何となく…、何処かで会った気がするって。
男性が俺の額に触れてきた。
?「うん。熱は下がってきたみたいですね?顔色もさっきより大分いいですし」
「はい。大分良くなったみたいです。貴方に聞いてもらえたお陰かな?」
?「はは。それは、良かった。でも、まさか“我慢せずに吐いた方がいいですよ”って言ったら、こんな身の上話をしてくれるとは思いませんでしたけどね?」
え?
“吐いた方がいい”って…。
ほんとのゲロのことか⁉
マジか⁉
俺、かなり勘違いしてるやん!
うわあ。
恥ずかしすぎる!
「すみません…」
そう言ってから、シーツで顔を被った。
男性が小さくクスッて笑うのが聞こえた。
―ガラガラガラッ!
点滴室のドアが勢いよく開いた。
ー「潤!」
そう言いながらカーテンを開ける音がしてきた。
ー「あ、すみません。間違えました」
なんか、聞いたことある声だな。
そんなことを思ってたら、俺がいるベッドのカーテンがシャッと開けられた。