第12章 愛のかたまり
結局、櫻井翔くんは目的の駅までずっと囲ってくれていた。
時間にしたら約5分の道程。
でも、小学生の腕力で乗り切るには過酷だと思う。
だから止めさせたかった。
でもさ、櫻井翔くんの顔を見てたら言いづらくなっちゃった。
だって、必死なのが伝わってくるんだもん。
言えないよ…。
雅「大ちゃん、どしたの?また、ボーッとしてたよ?」
「ん。ちょっと、ね…。考え事?」
雅「ふーん。珍しくグルグルしてるの?」
グルグル?
「なに?」
雅「だってさ。大ちゃんって、言葉少なじゃん?それは、言葉にする前にすごく考えてるからじゃない?」
「そう?」
雅「うん。だからさ。思ってたことを直ぐに口に出すってことは、よっぽどのことなんかな?って思ったわけさ。雅紀くんは♪」
ほんとに他人のことをよく見てんなあ。
雅「大ちゃん。いつでも聞くよ♡」
「うん。わかった」
雅「待ってるからねん♡」
………。
相葉っち、ありがたいけど。
語尾に♡は、要らねえぞ?
雅「さってと。おなか空いたよ~。何食べるう?」
メニューを俺の方に向けて自分は逆さから眺めている。
こうゆう、優しいとこ。
なんか、いいな…。
メニューをパタパタと何回も往復させてから「選べない~!大ちゃんが選んで!」って俺の前にズズッと寄越してきた。
ふふふ。
優柔不断だなあ。