第12章 愛のかたまり
―ピンポーンッ
お、来たかな?
俺は小走りで玄関に向かった。
覗き窓から見える見知った顔。
思わず心が弾む。
ガチャリと玄関扉を開ける。
~と、直ぐに俺を抱き締めてくれる。
「会いたかった…」
俺の背中に回した手に更に力を入れて「わたしもだ。智」と言ってくれた。
「ほんとに?」
*「当たり前だろ?」
「嬉しい…んっ、ぁ、ふあっ…」
俺の耳元で囁いたあと、深い口づけをくれた。
*「智。ここ、付いてる」
そう言って、俺の口元を指で拭ってくれた。
「ありがとう。先生」
パスタをフォークに巻き付けていた先生の手がピタリと止まった。
そして、フォークをガシャンッと皿に放り投げた。
俺の身体がビクッと揺れて強張る。
*「智。2人の時は、“先生”はやめろって言ったよな?」
「はい…」
先生が俺の顎をガシッと掴んできて、グイッと上げた。
*「何回言ったらわかるんだ?」
先生がワインの入っているグラスを持ち上げて、中身を俺の顔に少しずつ垂らしてきた。
*「何回言ったらわかるんだ?智。返事は?」
「はい…。すみませんでした」
グラスのワインを掛け終わったあと、今度はボトルを掴んで、中身を全て掛けられた。
それで満足したのか?
やっと解放してくれた。