第12章 愛のかたまり
「んふふ。相葉っちが言った通り、中学からは一気に伸びそうだね?」
翔「はい!そうなったら、嬉しいです。ふふふ♪」
余程背のことを気にしてたのか?
俺の“伸びた?”の一言でとっても嬉しそう。
俺も嬉しくなってきた。
「俺なんか直ぐに追い越されそうだね?そうなったら、お祝いする?」
翔「え?いいんですか?そんなこと言って。僕、本気にしちゃいますよ?」
「うん。いいよ…っと、、」
次の駅に着いて、更に人がドヤドヤと乗ってきた。
グイグイと押される。
うぅ。
この圧迫感。
嫌だな…。
俯いて、深呼吸した。
そしたら、気分がふっと軽くなった気がした。
顔をあげたら、櫻井翔くんが両手をドアに突っ張って俺の周りに少し空間を作ってくれていた。
気分が軽くなったのって、深呼吸したお陰だけじゃなかったのか…。
「櫻井翔くん。俺、女の子じゃないから」
翔「え?わかってますよ?」
「じゃあ、何で…?」
こんなことしてくれなくても。
それに、小学生に守ってもらう俺って、どうなの?
翔「なんだか苦しそうだったから…。それに、困ってる人がいたら助けてあげなさいって祖父母から言われてるんです」
「そうなんだ」
さっきから櫻井翔くんの手がプルプルと震えている。
それが、気になっちゃって…。