第12章 愛のかたまり
「うっわ。さっみいのに、若者は元気だねえ~」
11月半ばを過ぎて、一層寒さが厳しくなってきたこのごろ。
学校からのいつもの帰り道。
寒さに弱い俺は、マフラーに顔を埋めて、背中を丸めながら、小学校のグラウンドを金網越しに見ていた。
少年A「こっちだ!」
少年B「いけー!」
白い息を吐きながら、サッカーをしている小学生たち。
俺には無理だなあ。
雅「おいおい。“若者”って。貴方も若いでしょうよ?」
相葉っちが俺の肩に手を回してぐっと密着してきた。
ああ、あったけえぇ。
この時期は相葉っちが体温高くて助かるなあ。
「そっかあ?あいつらには負ける…」
雅「アッハッハ!」
むむ?
なぜに笑う?
雅「大ちゃ~ん。そりゃそうだよ。あっちは小学生だもん。俺らは、高2。まあ、負けっちゃ、負けだね。うんうん」
相葉っちが何かに納得して頷いてる。
こうゆとこ、好きだなあ。
詮索せずにのっかってくれるとこ。
いいよねえ。
雅「うわっ!いったそぉ…」
「え?なに?」
相葉っちの顔が傷みに歪む。
目線を辿ってみると、2人の男の子が蹲っていた。
ひとりは、膝から血が出ている。
雅「あ、見て!血も出てる!」