第11章 僕は、便利屋。⑤
それから…
「翔ちゃん、なんでこんなのと付き合ってんだ?」
とか、
「俺だったら誕生日知らないような恋人とはさっさと別れますけどね」
とか…
目的地に着くまで、散々グチグチと言われまくった。
もう~、勘弁してくれ…。
相葉さんが「カズ、言い過ぎだよ?」と宥めてくれたけど、ニノの怒りは中々収まらなくて。
その間、翔はずっと寝ていた。
こんだけ騒がしいのに…。
和「まったく…。まだまだ言い足りないけど、今日はこれくらいで勘弁してやりますよ。それにしても翔ちゃん、よく寝てるね?」
翔の首が辛そうな角度になってるから、俺の膝の上に頭を乗っけてやった。
ニノがサラサラと翔の髪に触れる。
和「ふふ。か~わいい。このまま寝かせてやりたいけど…。まーくん、もうすぐ到着するんですよね?」
雅「うん。あと10分くらいかな?」
雅「到着でーす」
車で1時間半。
漸く到着した。
和「はあ~。やっと着いた~。翔ちゃん、起きて。着いたよぉ~♪」
ニノが翔の肩をポンポンと叩いた。
直ぐにパチッと目が開き、キョロキョロと周りを見渡す。
ほんとに寝起きいいよなぁ。
翔は窓の外を指さして『象だ~』とニコニコして俺に言ってくる。
翔が指さす方を見ると動物園の入口のゲートに象の絵が描いてあった。
「おぉ。そうだな。翔は動物が好きか?」
翔『うん。小さい頃、一回だけお母さんが連れてきてくれたの。でも…次の日に居なくなっちゃった』