第11章 僕は、便利屋。⑤
翔がおでこにチュッとキスしてきた。
おでこに手を宛てて「なに?」って聞いたら
翔が顔をゆでダコみたいに真っ赤にして『おはようのキス…です』と言って俯いた。
は?なにこの可愛いせいぶつ。
翔の後頭部に手を回してブチューッと唇にキスしてやった。
舌は勘弁してやろう。
つうか、俺が我慢できなくなる…!
唇を離すとトロトロな目をした翔が俺を見上げてくる。
その目…ヤメロー‼
頑張れ、俺のなけなしの理性!
いつも通り、翔が松兄ぃのデスクを拭き掃除する。
俺が掃除機をかけていたら、松兄ぃがやって来た。
部屋に入って直ぐに翔を見て、ニヤニヤしてる。
またか、エロ親父…。
翔の頭に伸ばしていく手を寸でのところでパシッと払った。
松岡「なんだよ?!ちょっと触るくらいいいだろうが?!」
翔に見えないようにギロリと睨んでやった。
松兄ぃが「おー、怖っ!」と言ってデスクに向かっていった。
掃除が終わって、翔がコーヒーを淹れるために給湯室に向かった。
便利屋が入ってるビルは、少し古くて水回りのものは離れたところにある。
ちょっと不便だけど、オフィスにいることはほとんどないから3人とも気にしてなかった。
でも、今は翔がいる。
だから引っ越そうって松兄ぃに言ってるんだけど。
先立つものがないって言われて。
俺が出すって言ってんのに断られた。
かっこつけちゃってさ…。