第10章 さよなら ぼくのともだち
俺は翔ちゃんを励ましたい一心で
「翔ちゃん。翔ちゃんは、頑張ったよ。俺たちの前でまで頑張らないでよ…。もう泣かないでよ…。よし!泣くのは俺の前でだけ、ね?そうして、ね?約束だよ?」
そう言ったら翔ちゃんが小さく頷いてくれた。
俺から離れて「もう大丈夫」って笑って、涙を拭う翔ちゃん。
そんなん、嘘だよね?
だって、さっきから俺と目を合わせてくれない。
ドアノブに手をかけた翔ちゃんをくるりと反転させて抱き締めた。
翔「な、なに?」
「翔ちゃん、ごめん…」
翔「え?…んっ…」
翔ちゃんの顎を上向かせて軽く触れるだけのキスをした。
唇を離して翔ちゃんを見ると、目を見開いて耳まで真っ赤になっていた。
「ごめん…」
翔ちゃんから離れて深々と頭を下げた。
翔「顔を上げてよ。それに、謝らないで…」
頭を上げて真っ直ぐに顔を見ながら「ごめん」と言ったら、俺の腰に腕を回して
翔「だから…謝らないで。俺、嫌じゃなかったから。むしろ、気持ちが落ち着いたよ。ありがとう…」
翔ちゃんがにっこり笑って、俺の胸に顔を埋めた。
翔「相葉くん、本当にありがとう…」
それから、俺たちはキス友だ。
それ以上でも以下でもない。