第10章 さよなら ぼくのともだち
「ニノ、あんがと♪」
和「お礼は言葉ではないものでお願いしま~す」
ニノが親指と人差し指で輪っかを作って見せてきた。
ふふふ。そう言って、払おうとしたら「いい」って、受け取らないじゃないかよ~。
ほんとにニノって、素直じゃないな~。
翔ちゃんが俺の顔をジーッと見ていた。
「ん、何?」
翔「何でもねえよ?」
そう言って、再びノートPCの画面に視線を戻した。
ニノと楽しそうに肩をバシバシと叩き合いながら笑っている。
俺は漫画雑誌を片手にソファーに座った。
翔ちゃん。楽しそうだね?
昨夜はあんなに、可愛かったのに…。
みんなの前だと途端に兄貴気質に戻っちゃうんだからな…。
翔「雅紀~。どこに行くの?ひとりに、しないでよぉ~」
「翔ちゃん。風呂入ってくるだけだから。直ぐに戻ってくるから、ね?」
翔「やだ!俺も一緒!」
「え?だって翔ちゃん、さっき入ったって…ぐえっっ!」
翔ちゃんがドーンッと勢いよく胸に飛び込んできた。
ものすごい勢いに、息が止まりそうになった。
翔ちゃんが寝てたから、その間に風呂に入ろうと思ってたら、ベッドに降ろした途端に起きちゃうんだもんな…。
翔ちゃんは、目を覚ましてからずっと俺の腕に絡まって頬をスリスリと擦り寄せてきて。
まるで猫みたいだな…。