第8章 若葉のころを過ぎても
まだ何も言ってねえのに。
ちょっとだけ、拗ねちゃうぞ、俺…。
翔「わ、わかったよ。そんな顔しないでよ。俺だってあの頃と違って、大人になったんだ。えっと…ちゅちゅ、ちゅう…だけなら……いいよ?」
は?
突然の申し出にビックリなんだけど?!
翔「なーんてね。冗談だよ……っ、むぎゅっ…」
翔を押し倒して、キスをした。
“むぎゅっっ”てなんだよ?
可愛すぎるだろ?
もう、我慢できねっ!
翔が無抵抗なのをいいことに、何度も角度を変えて唇を堪能した。
唇を離すと眼下の翔が目を見開いて俺を見ていた。
「ごち!」
翔「…はっ、はっ、ほ、ほんとに、する?ひどすぎる…っ!」
目に涙を溜めながら睨んでくる。
「翔がキスしていいって言ったんだろ?それに、初めてじゃねえんだから、いいだろ?」
翔が目をゴシゴシと擦りながら「冗談って言ったのに!」とブツブツと毒吐いている。
「俺がお前のこと好きなの知っててそんな冗談言うなよな。それに、いつまでもそこに寝てたら襲ってくれって言ってるようなもんだぞ?」
翔「襲うっ…って!な、な、なに考えてるんだよ⁉」
翔の顔の横に手をついて
「お前のこと」
耳元で囁いてやった。
翔がブルッと小刻みに震えた。