第8章 若葉のころを過ぎても
【S】
雅紀の言う通り、見間違いだったのか?
いや、ハッキリと見た。間違いない!
明日、大野くんに確認しとこうかな?
……いや、ダメだ。
気不味すぎる…。
あんな…あんな…こと…ぎゃーっ‼
思い出したら、恥ずかしすぎる!
もう~。
大野くんとこれからどう付き合っていけばいいのか、わからないよ…。
それに
父さんたちとも…。
智「翔!」
「はいぃっ!…あ、大野くん…」
名前を呼ばれて振り向いた。
そこには、生田くんと大野くんが立っていた。
懐かしい顔に思わず顔が綻ぶ。
と、同時に甦ってくるあの恥ずかしいキオク…。
生田「櫻井くん、久しぶりー。相変わらずイケメンだねー」
生田くんが俺の手をとってブンブンと上下に振る。
「ほんとに久しぶりだね。卒業して以来?」
生田「そうだよ。櫻井くん、全然来てくんなかったからさー。今日はどうして来てくれたの?」
「……えっと、その…」
智「斗真。理由なんていいだろ?こうやって来てくれただけでさ?な?」
生田くんが「そうだねー」って言って笑う。