第8章 若葉のころを過ぎても
翔はまったく起きる気配がない。
帰るか。
立ち上がったとき、ノックして舞さんが入ってきた。
翔母「雅紀くん。翔の様子どう?」
「寝てますね」
翔母「ふぅ。よかった。ずっとね、魘されてたから心配してたんだ~」
そう言いながら、翔の〇えピタと氷枕を取り替える。
魘されるほどって…。
何があったんだよ?
「これ、美味いッスねー」
翔母「そうでしょう?翔は食べないから私ばっかり食べてるのよ~。嬉しいわ~。感想を言い合える相手がほしかったの~」
舞さんが翔が起きてくるまで、居てほしいって言うので、俺はリビングで潤おじさんのお土産のクッキーを食べてる。
「俺でよかったらいつでも言ってくださいよ」
翔母「ありがとう。あ、智くんも甘いもの好きって言ってたな~。今度呼ぼうかな~?」
あいつ、もう舞さんに取り入ってんのかよ⁉
クッソー!
起きてきた翔に部屋に押し込まれた。
「そんで?なにがあったんだよ?」
翔「雅紀~。聞いてくれる?昨日、父さんがくれた土産が、この前ホテルで二宮さんから受け取っていたものにそっくりだったんだ。ということはだよ?大阪に行ってないんじゃないかって思うんだ…」
「う~ん?そうかもしれないけど…。見間違いってことはないのか?」