第8章 若葉のころを過ぎても
【A】
翔のお父さんがくれたお金でタクシーに乗った。
車内で大野が翔を膝枕した。
しかも、髪をサラサラと撫でている。
だから先に乗ったのか⁉
また先をこされたー!クッソー!
翔の家に着いても翔は意識が戻らない。
今度は、俺が翔を背負った。
先に降りる特権だなー♪
インターホンを鳴らすと、翔のお母さんがパタパタと駆けてきた。
俺の後ろに立っている大野が目を丸くして驚いている。
そりゃ、そうだ。
翔のお母さんは、翔に瓜二つだからな。
翔のお母さんに、事情を説明すると、取り合えず部屋に寝かしておいてほしいと言われた。
俺は、2階の翔の部屋に連れていった。
その間に、大野がお母さんに挨拶をしている。
意外ときっちりしたやつなんだなー。
ちょっとだけ、見直したかな?
翔をベッドに寝かすと、大野が「着替えさせた方がいいんじゃないか?」と言うから、チェストを開けてパジャマを探した。
見つけて、振り向いたら
「何してんの?!」
智「ん?着替える前に身体を拭いた方がいいだろ?」
翔を下着だけの格好にして、タオルで身体を拭いてるんだけど…。
「なんか、手つきがイヤラシイんだけど?」
智「気のせい、気のせい。早く着替え寄こせよ」
翔の熱がまた上がったら大変だから渡すけどさ?
なんかさ。
納得いかねーよなー。