第8章 若葉のころを過ぎても
再度、コンシェルジュがノックした。
―コンコンコン
また、ノックだけ…。
~って、トイレじゃないんだから!
入ってるのは知ってんのっ!
俺は苛立って、ドアノブを乱暴に動かした。
おにいさんが慌てて俺の腕を抑えてきた。
―ガチャッ
ドアがゆっくりと開いた。
ドアの隙間に足を突っ込んで無理やり、こじ開けた。
翔のお父さんが目を見開きながら立っていた。
しかも、ノーネクタイでYシャツを開けさせた格好で…。
その後ろには、バスローブ姿の男性が見えた。
男性は俺の視線に気づいて、部屋の奥へと消えた。
翔のお父さんは、黙々とボタンをとめている。
コ「あの、突然申し訳ございません」
翔父「構わないですよ。何かあったのかな?雅紀くん」
翔のお父さんが、おにいさんの後ろに立っている俺に向かって話しかけてきた。
おにいさんが退いて、俺が一歩前に出た。
「あの、実は…」
智「相葉?」
名前を呼ばれて、声のした方を向く。
大野が翔をおんぶして立っていた。