第8章 若葉のころを過ぎても
【S】
荒い呼吸のなか、今まで自分の身に起こったことを思い返してみる。
「でりゅっ!」とか「キモチイイ」とか…。
なんか口走ってた気がする…。
智「ヨカッタだろ?」
ボーッとする頭の上から、声がする…?
わっ!
俺は、いつのまにか大野くんの胸に凭れていた。
な、な、なにこれ?
あまりにも恥ずかしくて、大野くんから離れようとしたら…
凄い力で引き戻された。
と、同時に今まで嗅いだことのない匂いがしてきた。
「なに?このニオイ…?」
智「あ?ああ…これだよ」
そう言って、大野くんが俺の肩を掴んでいた手を離して、目の前で開いて見せてきた。
大野くんの手の中には、なんかネチャネチャしたものが…。
これって…?まさか…?
無意識に顔を逸らした。
智「ふふぅ♪翔~?どおしたあ~?ちゃんと見ろって。お前が出したやつだよお~♪」
大野くんが楽しそうに手をグーパーして見せてくる。
やっぱり、“セーシ”だー!
目の前で自分の出したものを見させられるって…
恥ずかしすぎるっ!
「やめてーーーっ!……あ、れ…?」
目の前の景色がグニャリとなったかと思ったら、意識がプツリと途絶えた。
智「翔?翔?おい、しっかりしろよ?おーーいっ……」