第8章 若葉のころを過ぎても
【A】
翔のお父さんを見かけて、思わず隠れてしまった。
翔と大野が会場から出てきた。
何で手、繋いでんだよっ⁉
怒りに任せて翔たちを追いかけた。
あれ?
角を曲がったら、2人の姿が無かった。
何でだ?
まさか、追い越した?
いやいや…。
翔父「あれ?雅紀くん?」
考え事しながら、トボトボと歩いていたら、翔のお父さんが居た。
一緒に居る男の人が会釈してきた。
俺も会釈しながら
「あ、どうも。お久しぶりです。今日は、お仕事ですか?」
翔父「あ?ああ。そうなんだ。これから、ちょっと打ち合わせをね。雅紀くんは、1人かい?」
「え?あ、はい。ちょっと、ケーキを食べに…」
翔のお父さんが、「そうか。また遊びにおいで」と手を振って、非常階段の扉を開けた。
あれ?エレベーターを待ってたんじゃ?
一緒に居る男性の背中を押して、階段を降りていった。
2人を見送って、はたと気付く。
翔のお父さんのことよりも、翔たちはどこに行ったんだ?
取り敢えず、1階のロビーで待ってみるか。
エレベーターで向かった。