第8章 若葉のころを過ぎても
「父ちゃんたち、どこ行った?」
隣の翔に問いかける。
翔「え?あ、ほんとだ。居ない…」
どうやら、翔も目を離してしまったようだ。
そんなに時間は経ってないはず。
もしかして、階段か?
エレベーターの前には、相葉が居る。
階段を指差して、「あそこから降りよう」と翔に伝える。
相葉に気づかれないように、忍び足で非常階段に近づく。
静かに扉を開いて、翔を先に行かせて、扉を閉めた。
ふぅ…。なんとか、バレなかったな…。
翔「大野くん。父さんたち、あそこに…」
翔が、指差す先に目をやると、1つ下の階の踊り場でなにやら話している。
「もう少し近くに行こう?」
翔が無言で頷く。
翔の手を握って、ゆっくりと2人に近づいて行く。
翔父「かずなり。行こう…」
智父(二宮)「うん。本当に、いいのか?」
翔の父ちゃんが俺の父ちゃんの手を両手で包み込んだ。
翔父「ああ。当たり前じゃないか。ここまで来て…かずなりの方こそ、いいのか?」
父ちゃんが頷く。
2人が見つめあってる。
なんか…いい雰囲気じゃないか?
まさか、あの2人…