第8章 若葉のころを過ぎても
壁に張り付いて2人の会話に耳を傾ける。
少し小声になった。
くそっ!聞こえねえ。
翔も聞き取り辛いのか、俺をちょっとずつ押してくる。
でも、なぜか手はずっと繋いだまま。
父ちゃんたちに夢中で気づいてないのか?
意識しだしたら、なんかドキドキしてきた…。
翔に気づかれないように、体を密着させてみた。
横目でチラリと見ると、意外に顔が近くにあって…。
心臓が更に高鳴った。
ああ、もう~。
父ちゃんたちどころじゃねぇ!
~って、あれ?
翔「……あ?なんで?」
父ちゃんたちに、あいさつしてる人を見て、驚いた。
俺も翔もバッと顔を見合わせる。
そうしたら、唇が当たるんじゃないかというくらいの至近距離で、ビックリした。
「あ、ごめん…」
翔「う、うん…」
顔を赤くしながら、翔が少しだけ距離を取った。
「えっと、さ?なんで?相葉が…ここに居るんだ?」
翔は首を横に振って
翔「お、れにも…わっかんね?」
まさか?
翔を…つけてきた?
なんのために? う~ん…。
考え事してる間に…。
父ちゃんたちは、居なくなってた…。