第8章 若葉のころを過ぎても
翔から、手渡されたチケット。
そこには、〈ケーキバイキング〉と書いてある。
とても魅力的だけど、このホテルってすっごく高いって有名だよな?
翔「どうしたの?」
「あ、ここのホテルってさー、高いんだろ?俺、金ねえよ?」
翔「ん?金?…ああ、大丈夫。俺が払うよ」
「いや、それは…」
翔「だったら、今度奢ってくれれば良いよ。ね?」
「あ、おう…」
翔って、ほんとに優しいよなー。
俺の嗜好や受験の為にバイトを辞めたことを覚えてくれてたんだ…。
家に帰って、母ちゃんに翔と出掛けることを告げてから、待ち合わせ場所に向かった。
少し早めに向かったのに、翔はもう着いていた。
小走りで近付く。
「ごめん。待った?」
翔「ううん。俺も今来たとこだから」
なんだ、これ?
まるで、デートじゃないか⁉
そういえば、翔と2人だけで出掛けるのって初めてだ…。