第8章 若葉のころを過ぎても
翔は、入学したときから目立っていた。
それは、仕方ないことだ。
世の中の人がいう“イケメン”ってのは、多分こういう顔のことだろう…。
そのうえ、頭もいい。
優しくて、頼りがいがあって…。
モテないわけがない。
たまたま席が隣になっただけなのに、翔は何かと俺を気にかけてくれる。
今まで、友達と呼べる人は斗真くらいだったけど、3年になってクラスが別になった。
いつも独りで居る俺に、気さくに声をかけてくれる翔。
そんな翔に、徐々に惹かれていく俺。
この想いは、友情?愛情?
…わからない。
ただ、翔には知られたくない感情だ。
翔「大野くん。今日、学校終わったらさ、時間ある?」
「あ?ああ。何で?」
翔「父さんの知り合いが、これ、くれたんだ。大野くん、好きでしょ?」