第8章 若葉のころを過ぎても
【O】
「寝みぃ…」
頭をガシガシと掻きながら、ノソノソと歩く。
欠伸が止めどなく出てくる。
何回も欠伸をしたせいで、目尻から涙が出てくる。
学校への道の途中に、銀杏の木がある。
その木を眺めながら、ボーッとする時間が好きだ。
尻にバシンッと刺激がきた。
後ろを振りかえる。
翔「うぃ~」
尻を擦りながら、睨み付ける。
「何が“うぃ~”だよ。いてえだろーが⁉」
翔は悪びれもせず、俺の首に腕を回して頭をワシャワシャとしてきた。
「おい!頭、グシャグシャじゃねぇか!」
翔「いつもだろ?」
ニカッと笑う翔。
結構、子供っぽいところもあるんだよなー。
こいつは、櫻井翔。
3年になって、同じクラスになった。