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君と共に

第13章 これまでとこれからと…


「あはは、つまづきそうになってたね。」
再会直後の笑顔にまた、心が奪われる。
「少し遅れたから、つい走っちゃって……。」
「時間なんて決めてないから、ゆっくりでいいのにー。」
なぜか、楓の言葉から"時間"という言葉を聞くと耳が痛い。
しかし、気にすれば楓に申し訳ない気持ちで笑えない気がする。
「さぁ、はやく入って入って!」
楽しそうな彼女に連れられ、本当に久しぶりな家屋へと、足を伸ばしていく。
玄関の鍵音が響く程の静けさから、家には二人以外存在しないことがわかった。
「リビングのソファに座ってて?お茶持ってくるから!」
スリッパがスッスッとリズムを刻みながら、キッチンへと消えていった。
言われるがまま、大きなテレビの前のふかふかソファに腰を掛ける。
そのせいか、頭も少し柔らかく溶けかけている。
「お待たせー!」
お盆の上にお茶とクッキーらしきお菓子が、そしてそれをこぼさぬように歩く楓がかわいらしかった。
「ありがとう。」
ソファの横にある机に盆を置いた彼女は、当然かのように、左隣にすっと腰かけた。
「和樹。」
名を呼ばれ、振り向くと…目をつむっている。
察するのに、時間が掛かったが期待に応え…
「楓。」
同じく名を呼び、キスを交わした。
「ドキッとしちゃった。」
肩にもたれかかる天使に、射ぬかれた僕は恐らく熱が出てしまった。
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