第11章 衝突、そして…
鈴木と楓。
二人の女の子の狭間に存在する感覚。
やっと会えた初恋の人、初めて心の闇に気づいた人。
どちらも大切な存在なのかもしれないし、勝手に変な妄想してるだけなのかもしれない。
ただ一言言える。
もう昔の俺に戻りたくない。
前みたいに1人でいることが少し、いや辛いのだ。
鈴木のせいで、1人の時間を楽しめなくなり
楓のおかげで、昔の気持ちにまた触れれた。
「考えごとか?」
「戸田か…まぁそんなとこだ。」
「また勉強か?」
「そうだと思っといてください。」
「相変わらずだな。ほれ、ありがとよ。」
貸していた宿題か。忘れていた。
「そういや、いつものあいつは?」
「教科書取りに行ったとか言って帰った。」
「あー、なるほど。」
それにしたら少し遅いなぁ…。
途端に気になり始めた。寄り道か?
「なぁ、携帯光ってんぞ?」
「え、あ、ほんとだ。」
「いつもマナーモード、いい加減気づけよ。」
「はい、わかりました。」
メールだ。
「屋上に来てください。待ってます。」
………。
目を疑って、静かに教室を後にした。