第10章 番外編 鈴木と片倉
「いたーい、おかあさーん!!!うっ、うぅ…。」
「……大丈夫?」
怪我をして泣きじゃくる私に声を掛けたのは、同じ年くらいの男の子だった。
心配そうな顔で見つめる男の子は優しさで満ち溢れた天使みたいな人。
「う、うん…グス……」
「はい、立てる?」
手をさしのべてくれた。その手に甘えて手を握ろうとした瞬間…
「………!?夢か…」
そう夢であった。夢の中ではかずくんは私にとって大切な存在でいつも優しくて助けてくれる。
「やっと会えたんだ。このチャンス逃さない。」
かずくんと初めて会ったのは、公園。
お互い小学生1年?2年?わかんない。
でも、はっきり覚えてる。
あなたは私を助けてくれた、覚えてくれてないよね。
かずくんにとっては些細すぎること。
私にとっては大きすぎることなんだけど。
「いたーい、おかあさーん!!!うっ、うぅ…。」
「……大丈夫?」
怪我をして泣きじゃくる私に声を掛けたのは、同じ年くらいの男の子だった。
心配そうな顔で見つめる男の子は優しさで満ち溢れた天使みたいな人。
「う、うん…グス……」
「はい、立てる?」
手をさしのべてくれた。その手を握って立ち上がった。
「かずきくん、早くいこうー!」
楓の声が聞こえるなんて、思いもしなかった。