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君と共に

第9章 過去、それと今


その日の夜は何故か眠れなかった。何故って言いながら大体の見当はついてる。やっと会えたんだから仕方のないことだ。
「んー、暇だし本でも読んでから寝るか…。今日は…」
さっと手に取ったのは一つの長編小説。というより、日記のような随筆に近いものだ。細かい話がいくつもあり、1話につき30分~1時間ほどで読めるから、ちょっとした時間にと思って買ったのだ。
…ペラ…ペラ
無言で無音の部屋にただめくる音だけが聞こえる。
1話の半分ほど読んでいた時であった。
チャラーン…チャラーン…ブブブブ
携帯音。メールが来た。
「…戸田からか。…なるほどね。」
宿題の件についてだった。貸してあげるさ、いくらでも。
「あれ、もう一件きてる。」
鈴木?何のようだ?
「明日、朝早く行くから話付き合ってー!」
…それだけ?添付もなかった。
「まぁ、いいか。」
肯定の返事をして、続きを読んだ。読み終わった。
まだ眠れないなぁ…。早く寝ないとまずい。
とりあえず、布団に入って目を…
「あれ、ちょっと待てよ?明日は昼からの授業のはず…朝早く来る意味がないぞ?」
もしかして忘れてるのか?…仕方ないか。
「明日、昼からだろ?早く来る意味ねぇぞ?」
送信、と。

返信が来た。
「誰もいないんなら、どこでもいいから。」
明らかにいつもと違う反応。真面目な話か?
「そうか、わかった…」
一体、何があったのだ?
長く感じる夜は少しずつ日に照らされて過ぎてゆく。
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