第8章 予想と予感
独りで帰ることが当たり前だったのに、今では2日に一回のペースになっていた。そのせいか、少しばかり寂しさまがいなことを覚えてしまった。
頭を使っても、ゆっくり歩いてみても、放課後の学校のことで頭が破裂しそうだ。全く、まだ迷惑かけるつもりなのか…。
「バカだな、俺は…」
1人でに呟く。そして、また悩むのだ。
家まであと10分程度。
未だに思考回路ループに陥ってる。それを断ち切ったのは、前から聞こえた声。
「一樹、君…?」
聞き覚えのある女の声。よく呼ばれたその呼び方。
下を向いてた頭を上げるとそこにいたのは…
「楓、ちゃん…?」
大人っぽく、背が高く、白いワンピースにピンクの鞄を持った女性は、姿は変わってたが、すぐに記憶から掘り起こされた。
「久しぶり、だね。」
「うん、久しぶりだな。」
これは夢?それとも何かの幻術?
現実ではないなら、今すぐ覚めろ。
現実なら…、やっと会えた。
今までで一番会いたかった人。
心の記憶にずっといた人。
そして、初めて好きになった人。
色んな感情が消え、喜びだけが残った。
運命のルーレットが勢いよく回りだす…。